【インタビュー日本語訳掲載】生きてさえいればたくさんの可能性がある —インタビュー記事

生きてさえいれば、まだたくさんの可能性がはある ——日本の作家/美容師永松麻美さんインタビュー記事
東京・下北沢駅近くの小さくて温かなエステサロンで、
美容家であり作家の永松麻美さんが微笑んでくれました。
その笑顔はまるで春の陽だまりのように、心をやさしく包んでくれます。
永松麻美さんはこのサロンのオーナーであり、
美容学校の講師でもあります、作家でもあります。
そして、彼女の人生そのものが、彼女が丁寧に触れてきた肌のように、
やわらかく、力強く、そして真実に満ちていました。
もしあなたが「鏡を見るのがちょっと苦手」「私はまだ足りないかも」と
感じたことがあるなら、ぜひ自分自身にこう言ってください。
「キレイかどうかは、他人の評価じゃなくて、自分の選択である。」
【著者紹介】
永松麻美(ながまつ あさみ)
作家 エステティシャン 美容講師
東京都世田谷区下北沢にてエステサロン&スクール【SUHADA】を運営。
幼少期にアトピーを患い、思春期にはニキビや肥満に悩み、容姿に強いコンプレックスを抱える。キレイになりたいという一心で美容業界へ転身。資格取得後、サロン勤務を経て28歳で独立し、現在のサロン【SUHADA】を開業。これまで2万人以上の肌質改善、小顔ケアに携わる。容姿に悩む人を減らし、「自分らしく生きる人を増やす」ことを目指して活動中。
01「人に見られたくない」から「自分で自分を照らす」人生へ
多くの人が美容の道に進むのは「美」が好きだから。
でも、永松先生にとってのきっかけは「自分に満足していなかった」ことでした。
美しくなりたい一心で、思いつく限りのことを試しました。
ダイエット、高価な化粧品やスキンケア……
お小遣いが少なくても、無理して一番いいものを買った。
でも、目に見える変化はありませんでした。
そうして、美容師(エステティシャン)の道を歩み始めました。
最初はサロンの見習いから。
働きながら、ひたむきに学びました。
肌について本当に役立つ知識を身につけるために、
一度仕事を辞めて専門学校に入り直し、国際資格や
美容師(エステ)のライセンスを取得しました。
28歳で、人生初のサロンを府中市にオープン。
今では、下北沢に4件目のスタジオを構えるまでに成長しました。
02 自由な教育、青春期--父からの影響
学生時代の話になると、永松先生の歩んだ道は、
いわゆる「一般的」なものではありません。
そう言って、彼女はまったく気負いなく笑います。
世間では、“学歴に傷がある”と見られがちな経歴。
でも彼女は、そのことをむしろ誇りに思っています。
一般的な道を外れたその経験が、彼女にとって
「人生にもっと自由な選択肢がある」という気づきを与えてくれました。
そんな「多数派に流されない」感覚のルーツには、父親の存在があったといいます。
世間的には“学歴がない”とされる父親。
けれど、ひとつの技術を身につけて家族を支え、
何よりも、サラリーマンよりずっと幸せそうに見えた。
だから、高校に行かないと告げたときも、両親は彼女の選択を受け止め、
自由を尊重してくれました。
その信頼があったからこそ、彼女はいつも「違う道を選ぶ」勇気を持ち続けられたのです。
03「美しさ」とは、基準に合わせることではなく“自分自身を取り戻す”こと
「どうすれば美しさを保てますか?」
そう尋ねると、永松先生はやさしく微笑みながら、こう答えてくれました。
彼女のサロンには、さまざまな人が訪れます。
40代になって初めて「きれいになりたい」と思った女性。
失恋をきっかけに癒しを求めるOLさん。
長年、肌の悩みで自信を持てずにいた方。
60代になって「推し活」を楽しむことを自分に許し、内側から輝き始めた方も。
誰であっても、永松先生がまず見つめるのは“その人の気持ち”です。
ただ肌の表面だけを見るのではなく、感情の声に耳を傾けるのです。
彼女が目指す美容は、「誰かになろうとする美容」ではありません。
その人がもう一度、自分自身を好きになれるようにサポートする美容です。
04「今この瞬間を生きる」--制限を設けない人生のかたち
4冊の著書を出版し、サロンを運営し、美容講師としても活躍している永松先生。
「これからの目標はありますか?」と尋ねると、彼女は笑いながらこう答えました。
現在は、施術だけでなく専門学校の美容講師としても学生の指導にあたっています。
本を書くことも、教えることも、サロンでの施術も、
彼女にとってはすべてが「誰かの苦しみを少しでも減らすための方法」。
彼女の言葉からは、「結果」よりも「プロセス」を
信じている強さが、やさしく伝わってきます。
05「私にもできるかも」から始まった---出版の夢
出版のきっかけについて聞くと、永松先生は少し照れながら、こう話してくれました。
かつて彼女も、外見のことで悩んだり、これから
どう生きていけばいいのか迷ったりしていた時期がありました。
そんなとき、心の支えになってくれたのが「本」だったといいます。
ところがある日、身近な友人が出版を果たしたことで、その考えがガラリと変わりました。
夢を実現した背景には、特別な学歴や
派手な経歴があったわけではありません。
中学卒業後、高校も行かず、自信が持てない日々もあった——
でも、それが「できない理由」にはならなかったのです。
彼女は言います。
06「いざとなったら大丈夫」---本当の自信は“最悪を受け入れられる力”
ここで話題は自然と、「お金」や
「生きることへの不安」に向かっていきました。
経営者である彼女に聞きました——
物価の高騰や、お客さんの減少、サロン運営の
プレッシャーに不安を感じたことはありますか?
永松先生は笑いながらこう答えました。
彼女の中には、いつも“最低限の生存ライン”があるそうです。
不安を「ないこと」にしようとするのではなく、
「最悪のケースを想定し、それでも大丈夫」と
思えることが、彼女の支えになっているのです。
永松先生は、明るい声でさらりと言います。
07不安は敵じゃない----それは“動き出すべき時”のサイン
永松先生は正直に語ります。
美容というサービス業は、コロナ禍で大きな影響を受けた、と。
だからこそ、当然ながら不安も感じたといいます。
でも、あるとき彼女は気づきました——
頭の中が不安でいっぱいになるとき、それは「動いていないとき」。
感情を無理に抑え込もうとはしません。
むしろ、不安を「行動のきっかけ」として活かすのです。
彼女は、不安を否定しません。
でもそれに呑み込まれず、「一緒に過ごす」ことを選んでいます。
08夫婦の、やさしい日常
現在、永松先生は美容師である
ご主人と一緒に、サロンを経営しています。
夫婦で同じ仕事をしているからこそ、
仕事も暮らしもぴったりと重なり合い、心地よいペースで過ごせているといいます。
もともと旦那さんは表参道で自分のヘアサロンを経営していましたが、
1年前に下北沢へ拠点を移し、夫婦で一緒にひとつのサロンをつくることになりました。
それが今の、「カット」「美容」「癒し」を融合させた、多機能であたたかな空間です。
夫婦関係をうまく続けるコツは?と尋ねると、
永松先生は少し笑いながら、こう答えました。
おわりに
完璧なプランなんていらない。
必要なのは、“続ける勇気”だけ。
永松麻美さんの歩んできた道には、
大きな夢の設計図も、派手なサクセスストーリーもありません。
あるのは、「今日できることを丁寧に積み重ねてきた」日々の記録です。
今日、本を書く。
明日、生徒を教える。
あさって、お客さまの心と体を癒す。
不確実さを「恐れ」ではなく、
「たとえ最悪でも、生きていける」という感覚が、
彼女の人生を、静かに、でも力強く照らしてきました。
もし今、未来が不安だったり、失敗が怖かったり、
誰にも理解されないかもしれないと感じていたら——
どうか、彼女のこの言葉を思い出してください。
完璧じゃなくていい。
遠くを目指さなくていい。
小さな一歩を、今日も進む勇気があれば、それで十分。
ーおわりー
取材 構成:Yui
翻訳 編集:Yui
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執筆者

永松麻美(ながまつあさみ):東京都世田谷区(下北沢)でエステサロン&スクールSUHADAを運営してるオーナーエステティシャン・エステ講師。サロンは12年目。初心者からエステサロン開業を目指すための技術・知識スクールを運営、卒業生の開業・経営サポートにも携わっている。美容家としてTV・ラジオ・雑誌の美容記事監修・執筆、化粧品や美容アイテムの監修メディア出演もしている。著書に「シワとりパーフェクトブック」「正しい知識がわかる 美肌事典」「キレイかどうかは自分で決める」「表情筋ほぐし」がある。