肌の悩みに寄り添う、本当の意味でのケアとは

先日、10代のお嬢様の肌荒れを心配したお母様が
お嬢様のケアのためにサロンにいらっしゃいました。
SUHADAではお母様がお嬢様を連れてくる
ケースが実は多いんです。
お母様の愛情深い眼差しと、娘さんの少し
恥ずかしそうな表情を見ていて、私は自分の子供時代を思い出しました。
私も同じ気持ちでした
実は私も、幼い頃からアトピーに悩まされ
10代になってからはニキビで本当に苦しんだ経験があります。
はやく生理がきたからニキビができるのが、はやかった。
だからこそ、ニキビがまだない、珍しく感じる周りの子の
ちょっとした言葉に傷ついたりしていました。
鏡を見るのが嫌で、人と目を合わせるのも辛くて。
今回いらしたお客様本人がどう感じてるかは
まだわかりませんが気にしているとしたら、
その気持ちは痛いほどよく分かります。
そして、娘を心配して病院やサロンに連れて
行ってくれる母の愛情や優しさも、今ならとてもよく理解できます。
素敵なお母さん。
あの時感じた寂しさ
私の話になりますが当時、私が辛かったのは
実は肌の悩みそのものよりも別のことでした。
病院だったり、周りの大人は私のニキビの
話をするときに母にばかり話しかけて
私にはほとんど目を合わせてくれなかったんです。
確かにお金を出すのは母かもしれない。
でも、これは「私の皮膚の話」なのに
私の気持ちは?私の声は必要ないの?
と、心の中で叫んでいました。
ティーンエイジャーになっても続いた経験
自分一人で皮膚科に通うようになってからも
目を合わせてくれない先生は多かったように思います。
特に印象に残っているのは
ニキビ専門の美容皮膚科での出来事。
有名な皮膚科で、待ち時間が2時間、診療は3分。
一度も先生と目が合いませんでした。
もう、不信感でいっぱいで・・・。
私の何をわかるの?なんて反発心さえありました。
そして、待合室では数十人がみんな下を向いて
人の目を気にしながら座っている。
そして、娘を連れてきたお母さんらしき人が受付で
と、声を荒げていました。
娘さんは、下を向いて黙っていました。
大人になった今なら、愛情や心配から必死に
なり過ぎてしまったのかもしれないとも思えるけれど・・・
お母さんにそんなふうに言われて
俯いている、自分よりも若いであろう
その女の子を見て・・・
心に針を刺された気持ちになりました。
そして同時に・・・
と、余計に不安で、辛い気持ちになったんです。
若い心は繊細だからこそ
若ければ若いほど、知っている世界、価値観はまだ限られています。
だからこそ、大人や周りの人の少しの言動で
深く傷ついてしまうことがあるし・・・
本当は気にしなくていいことに
とらわれてしまうこともあるんですよね。
もちろん大人だって、そういうことってあります。
実際のところ、お肌に敏感さがなければ若い方の
ニキビはケア自体はそれほど難しくないことも多いんです。
でも、心のケアはとても難しい。
技術だけでは足りない部分があります。
一人の人として向き合いたい
だから私は、あの日いらした娘さんにもお母様にも・・・。
特に娘さん本人を無視しないように自分なりに
向き合ってお話をさせていただきました。
施術はもちろん慎重に、丁寧に行いましたが
それ以上に大切にしたいのは、彼女の気持ちに寄り添う気持ち。
大人はもちろん、10代の少女は今日初めて会った大人に
いきなり心を開くなんて、できるわけがないから。
寄り添うなんて、できないことを前提に
でも寄り添う姿勢でありたかった。
お金を出すのは親かもしれませんが
肌で悩むのも、ケアするのも、親じゃない。
その肌で生きていくは、本人です。
子供だろうが、何歳だろうが関係ない。
一人の人として、尊重しなければならないと思っています。
私だからこそできること
私が経験してきた辛さや悲しさ
そして乗り越えてきたこと。
乗り越える過程で得てきた
エステや美容の技術や知識。
それらが今悩んでいる方の力に、少しでもなれるなら
こんなに嬉しいことはありません。
肌の悩みは、単なる美容の問題ではありません。
その人の心と深く結びついているもの。
だからこそ、表面的なケアだけでなくて
ケアする人をリスペクトする姿勢を忘れたくない。
それが、私がエステティシャンとして、
そして一人の女性として、真摯に向き合い続けたいことです。
執筆者

永松麻美(ながまつあさみ):東京都世田谷区(下北沢)でエステサロン&スクールSUHADAを運営してるオーナーエステティシャン・エステ講師。サロンは12年目。初心者からエステサロン開業を目指すための技術・知識スクールを運営、卒業生の開業・経営サポートにも携わっている。美容家としてTV・ラジオ・雑誌の美容記事監修・執筆、化粧品や美容アイテムの監修メディア出演もしている。著書に「シワとりパーフェクトブック」「正しい知識がわかる 美肌事典」「キレイかどうかは自分で決める」「表情筋ほぐし」がある。