手が震えた新人エステティシャンが指名されるようになった理由

 

 

今でも鮮明に覚えています。

 

フェイシャルに特化したスパで

エステティシャンになってすぐのころ。

初めて一人でお客様を担当した日のことです。

 

緊張でマッサージオイルの容器を

落とした瞬間「失礼しました」ではなく

「すいません！」って、震えるような声が出た時のこと。

 

手が震えて、それがお客様に伝わったら

どうしようって不安だったこと・・・。

 

そんな不安で頭がいっぱいでした。

エステ学校で散々やってきたのに。

職場でも何度も先輩にチェックしてもらったのに。

 

いざお客様を前にすると

すべてが飛んでしまうような感覚で・・・。

 

お客様は優しく「新人さんなのね、よろしくね」と

声をかけてくださいましたが、その優しさがかえって申し訳なくて・・・。

 

施術が終わった後、一人バックヤードで涙が出そうだった。

でも忙しいサロンは泣いてる暇もなくって。

 

初めてで手が震えた時。

そして、そのすぐ別のお客様に逆指名をもらったとき。

 

そう思いながら毎日、過ごしてました。

 

そんな私を変えたのは、数ヶ月後に

出会った一人のお客様でした。

 

30代の女性で、初回のカウンセリングで

と、とても緊張した様子で、小さな声で話されました。

 

その時、気づいたんです。

緊張しているのは私だけじゃない。

 

お客様も同じように、いえ、

セラピスト以上に不安を感じているんだということ。

 

当時の私は、自分が失敗しないか。

自分がお客様に嫌われないか。

そんなことばかり考えていて・・・。

 

お客様のことではなくて、自分の心配ばかりしていた。

だから、失敗が怖かったり緊張するんだと気がつきました。

 

お客様に安心してもらうことを考える・・・。

 

その日から、私は自分の技術の完璧さよりも

お客様の気持ちに寄り添うことを大切にするようになりました。

 

技術はすぐには上がらない。

そこは継続して練習するしかない。

 

でも、今、お客様のエステしてる瞬間は

経験不足でも未熟でもプロなんだから、

目の前のお客様のことを全力で考えよう。

 

今の自分の100%で向き合おう。

そう思うようになりました。

 

すると不思議なことに、私自身の緊張も

自然と和らいでいったのです。

 

お客様がリラックスしてくださると、

私の手も自然と動くようになりました。

 

そのお客様は、帰り際に

2回目の予約も私を指名してくれました。

 

そして、3回目の施術の後でこう言ってくださいました。

 

と。その時初めて気づいたのです。

 

技術は確かに大切だけれど、それ以上に大切なのは

「相手を思いやる心」だということを。

 

そこから私の指名のお客様は

すこしづつ増えていきました。

 

その頃から10数年経った今、2万人の肌と

向き合ってきて確信していることがあります。

 

どんなに技術が優れていても

技術だけでは、結果だけでは

真の満足は生まれません。

 

逆に、心を込めて向き合えば、

技術は後からついてきます。

 

お客様が求めているのは、単なる

「施術」ではなく「自分を大切にしてくれる時間」かもしれない。

 

最近、あるお客様から

と言っていただきました。

 

新人時代、自分の才能のなさに嘆いてて

自信がなくて仕事を続けるか悩んでた

私には想像もできなかった言葉です。

 

私は、エステの才能があるタイプではありません。

でも、特別な才能がなかったとしても。

 

お客様一人ひとりと真剣に向き合い続ければ

かならず結果は出ると思っています。

 

エステの才能がなくても・・・

努力と継続でちゃんとお客様に貢献できるプロにはなれます。

 

今、スクールで生徒たちに最初に伝えるのは

技術の手順ではありません。

お客様が何を求めてるかを考えることから始めます。

 

エステ講師をしていて、緊張している生徒さんや受講生をみて

「下手」だとか「こんなので緊張するの？」なんて思いません。

 

だって、私も手が震えていたことが何度もあったから。

 

なぜ手が震えるのか。思考が変われば

緊張や手の震えがおさまる人もいます。

 

それでも身体が反応する人は、緊張してても

手が震えててもできるように練習していきます。

 

技術は練習すれば必ず、必ず身につきます。

 

でも、相手を思いやる心は、最初から持っているもの。

それに気がついて、忘れず、信じて、育てていくことが大切なのです。

 

生徒さんや受講生には、失敗を恐れずに

チャレンジしてほしいと思っています。

 

完璧でなくても、心を込めて向き合えば必ずお客様に伝わります。

 

もしあなたも技術に不安を感じているなら、

それは決して恥ずかしいことではありません。

 

その不安こそが、お客様への思いやりの原点になるのです。

私たちのスクールでは、技術と心の両方を

大切に育てる指導を心がけています。

 

 

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