子供の頃は細身だった私が、思春期に入ると同時に
"ぽっちゃり"街道を爆走スタート!
ホルモンバランスの変化、親元を離れたストレス、
食生活の乱れ、そして部活で増えた食事量と筋肉量…
気づけば体重は70kg近くまで急成長していました。
当時の流行は、華奢で細身のスタイル抜群のギャル。
おしゃれな子、モテる子はみんな痩せている。
私には別世界の話でした。
「こんなデブがスカートなんて履いたら笑われる」
といつも部活のジャージ。
少しでも痩せて見えるようにジャージはなるべく黒や紺…。
周りのキラキラした子たちと自分を比べては、
どんどん外見コンプレックスを深めていきました。
ある日、出かけ先でトイレに行くと見知らぬおば様が、
怪しい人を見るような顔でこう言いました。
小学生の頃はよく男の子に間違われていたけれど、
さすがに20歳を過ぎてこの仕打ち…。
ショックで打ちのめされ
「せめて女性として見られたい!」と、
負けず嫌いのスイッチがカチッと入りました。
今思えば、それまでも「どすこい」と呼ばれたり、
ちょっとモテる男子に「デカい」「ぬり壁」と言われたり、傷ついていました。
でも、その時は
「実際そうだし仕方ないよね」「どうせ私なんて…」
と諦めモード。
「変わりたい」と強く願ったのは、
あのトイレ事件がきっかけだった気がします。
当時のダイエット方法
まず「女性に見えるようになる」ために、
私が取り組んだのはダイエット。
当時は、というか当時もダイエットブームで
しかも今よりも偏った情報が多く
「りんごだけダイエット」とか「置き換えダイエット」とか、
極端で不健康なダイエット法が流行っていました。
周りの友達もダイエット感度が高くて、
いろんな方法を試していました。
でも、健康を害したり、拒食症になる子もいました。
だからなるべく健康的に、と考えて
学生でお金もなかった私は、以下の3つを徹底することに。
- 毎日体重計に乗る
- 毎日走る、できたら泳ぐ
- ご飯のおかわりは1回まで
3つ目を見て「ん?」と思った人もいるはず。
実は運動部だった私は
「朝から揚げ物3人前おかわり!」
「白米は3杯食べないと満足できない」
という食生活がデフォルト。
夕方お腹がすけば、安くお腹を満たせる
「菓子パンと500mlのミルクティー」で空腹を満たしていました。
朝5kmほど走って学校へ行き、時間があればプールで1~2km泳ぐ。
そんな有酸素運動を習慣にしたところ、最初の数ヶ月で
体重はみるみる落ちていきました。
痩せて変化したこと
痩せてくると、周りからも
「足が綺麗になったね」「目が大きくなった?」と、
見た目の変化や良いところを褒められるようになりました。
「社交辞令でしょ?」と思いながらも、
だんだん褒められるのが快感に。
褒められるって、こんなにも嬉しいんだ…!
当時の私は、褒められる快感に酔いしれ
別人になったような気分でした。
まるで「ダサくてデブな過去の自分」は終わりを告げ
「細くて可愛い新しい自分」が始まるような、そんな気がしていました。
ミニスカートだって、キャミソールだって着ていい。
髪型も、メイクも、全部自分に許可できるようになる。
「生まれ変わった!」、そんな高揚感に満ち溢れていました。
一度は15kg以上も痩せることに成功し、自信もつきました。
そしてリバウンド
…が、しかし。最初の3つの約束を、だんだん守らなくなっていきます。
「もう痩せたし、少しぐらい食べても大丈夫」
「運動すると筋肉がついて太くなるかも…運動したくないな」
「体重計が壊れた」
そんな言い訳をしながら、ズルズルと元の生活に。
食事量は以前よりも減っていたので、
リバウンドは5kg程度で済んだものの
自分でリバウンドに気が付かず、友人に
「少し戻ったよね?」と指摘されてハッとしました。
「気が付いたら太ってた」と言う人って、
実は自分の身体に興味がないんです。
体重計に乗ったり、自分の体を鏡で見たり、
触ったりすることすらしていない。
自分の体に興味を持ってないから
変化に気づかない日々を送っている。
私がそうでした。
自分の体にコンプレックスがあったり、嫌いだ!
という気持ちがあると「見たくないから、見ない」んです。
自分の姿をみたくない、直視したくない。
この時のリバウンドは、自分を好きだとは思えなくても、
最低限興味をもって気がついてあげることの大事さを感じた経験でした。
ダイエットは自分を愛する練習
そこから私は、自分の体を鏡でみる癖をつけていきました。
リバウンドして、一瞬、痩せた時に手に入れた
「人から褒められること」「スカートを履いてもいい」
などの自由さ、自信を失う感覚になりましたが
そこまで落ち込まずに済んだのは
変わらず接してくれる友人がいたり
鏡で自分の姿をみることで、少しづつ
「どんな姿の自分も受け入れる」ということが
自然にできるようになりつつあった気がします。
ダイエットを通して私が学んだのは、ただ痩せれば
綺麗になれるといったことではなく
「自分の身体に興味を持つこと」の大切さ。
そして「自分の身体が好き!」とまでは思えなくても
「まあ、いいよね」と受け入れられるだけで、
自己肯定感は大きく変わるということ。
自己肯定感が高まると、心の自由度が上がり、
前向きな気持ちが出てきて、人とのコミュニケーションも変わる。
毎日がもっと楽しくなる。
今、エステの仕事をするようになって思うのは、
お肌も体も、自分の「外側」に興味を持ってケアすることは
自分の「中身」を大事にすることと同じだということ。
中身とは、自分の心であり、
健康であり、人生であり、命そのもの。
昔の私は「痩せたら綺麗」と思っていたけれど
今は違うと思っています。
ふっくらして美しい人もいる。
ベスト体重は、人によって違います。
一人一人、骨格も肉質も、筋肉や脂肪のつき方も違うし、
体調がいい・心地いいって思えるバランスは違うから。
心身ともに健康で、「心地いい」「自分っていいよね」と
自分自身に思えることが何より大切。
誰かと比べたり、社会が作った「美の基準」に
自分を当てはめようと縛るんじゃなくて、
自分を心地よい状態にしてあげるために
ボディメイクやボディケアがある。
ダイエットに成功したら、幸せになれる、
欲しいものが手に入る…そう信じていた時期もありました。
でも、ダイエットを通じて自分を大切にすることや、
自分を肯定的に思えることが大切だと気づきました。
ただ痩せるためのダイエットじゃなくて、
もっと理想の自分になるためのボディメイクだったり・・・
「幸せに生きるため、自分を大事にするためのボディケア」
をしたいし、してほしい。そう願っています。
エステティシャンとして、サロンでお客様のお身体に触れる時
そっと、宝物を扱うように触れていきます。
これは、自分の身体を触る時も一緒です。
忙しい時はどうしても雑に扱っちゃいがちですが、
生まれて間もない赤ちゃんを、大事に優しく、そっと触るように。
自分の身体も、宝物のように扱っていく。
思い出した時だけでも、そういう意識をもって触れていきたいものです。
自分とどう向き合うか、そんな内容を書いた永松の本はこちら
『キレイかどうかは自分で決める』