「電車に乗れない」と会社を辞めた私が、天職と出会うまでの話。

あの頃、満員電車に乗るのが、私にとって「地獄」でした。早朝、駅のホーム。電車を待つ人々の群れを見るだけで、動悸と冷や汗が止まらなくなる。車両に乗り込んだ途端、息が詰まり、このまま意識を失ってしまうのではないかという恐怖に襲われる。それは、ある日突然、私を襲ったパニック発作でした。
病院ではパニック障害の可能性を告げられ、精神安定剤を処方されました。なんとなく、薬を飲みたくなくて、「気の持ちよう」と自分を鼓舞して。それでも、どうしても電車に乗ることができない。
都心に住む私にとって、電車に乗れないということは、社会活動のほとんどを制限されることを意味していました。
急行で30分で済むはずの通勤時間は、「すぐに降りられる各駅停車」で、1時間かけて通う日々。満員電車の恐怖だけでなく、まるで自分だけが社会から切り離されてしまったような孤独感にさいなまれました。
通勤すらまともにできない、ダメなやつなんだと自分を責めてたように思います。
そして、同じ頃、数年落ち着いていたアトピー性皮膚炎が再発しました。接客業だから、お客様の前では肌をボリボリ掻くことなんてできない・・・でも、痒いのを我慢できない。ストッキングはいつも1日しかもたなかった。膝裏を掻いてすぐに破いてしまうから。
心と体の悲鳴が、まるでシンクロするかのように同時に現れたのです。朝早く出勤し、ろくに休憩も取れず、時には水も飲めず、トイレにも行けない。タイムカードを切った後も、夜遅くまで残って練習する日々。労働時間は14時間を超えることもありました。仕事自体は好きだったし、接客中は楽しかった。でも、上司から無視されたり、メイクを笑われたりすることもあり、働いているというより、まるで自分が何かの奴隷のように思えてきて・・・。
でも「ちゃんとしなきゃ」と思っていました。学歴も、何もない私が会社を辞めたら、生きていけない!と。
でも、あるとき父に言われてハッとしました。
その言葉に「ここで頑張らないと自分はダメ人間だ」と盲目的に思い詰めていた自分に気がつきました。他の方法があるなんて、思いもしなかった。すごく、視野が狭くなっていた。「好きにする」」余地がないと思い込んでいたのです。
すぐに会社を辞めることを決意し、上司に伝えたその日、数ヶ月苦しんだパニック発作は嘘のように消えました。動悸も、息切れもなく電車に乗れました。
その時、はっきりと気づきました。私が怖かったのは、電車そのものではなかった。電車に乗って向かう、会社が嫌だったのだと。人を傷つけることを平気で言ってくる人が嫌だったのだと。「今日は何時にご飯食べれるかな、日付が変わる前には帰れるかな」と、考える日々が嫌だったのだと。
努力は無駄にならないし素晴らしいけど、世の中には努力が報われにくい場所があるし、「報われない努力に疲れた人」がいます。その状況が続けば、誰だって心身を病んでしまいます。
どれだけ頑張ってもどんどん辛くなっていったのは、体力的に疲れ切ってたのもあるけれど、自分の人生のハンドルを、他人や会社に握らせていたからだと、今ならわかります。
もちろん、会社に入ったらその会社の目標に向かって働いて、そのルールに従うのが社会です。でも、その会社で働くことを選ぶのは自分で・・・。不当な扱いを受けたり、人間らしく働けないなら、会社が変わるよう働きかけたり、辞めるという選択肢を持つのは自分で。
そこから数年後・・・サロンを開業してからは、ほとんどの事柄を自分で決めることができます。
休憩のタイミングも、休みの日も、労働時間も、提供するメニューも。もちろん、全てが思い通りになるわけではありません。休みを増やせば収入は減るし、お客様優先にすることもあるし、いろんな制約もある。でも、その制約をどう突破していくかを考えるのも、自分自身。
今でも気がついたら14時間働いていた、なんて日もたまにあります。でも、無理やりさせられるのと、夢中になって自分で選択しているのとでは、全く違います。楽しいし、やりたくてやってるから。
精神的な病になったことは、人から「心が弱い人」と思われるかもしれない、との偏見から、長い間私にとって隠したい「負の遺産」でした。でも、今では、それは私にとって何物にも代えがたい「財産」です。アトピーなど肌の悩みもそうですが、生きづらさを経験したからこそ、人痛みを心から理解し、寄り添うことができます 。そして・・・・
自分らしく生きるって言葉は漠然としてるけれど、私は「自分が選択権をもっている」と、思えることが大事だと思っています。誰にでも制約はありますし、不自由な状況はあります。でも、その中でも自分が選べるのだと、思えることが大事だと思うのです。
報われない努力に疲れた人、自分の力で人生を変えたいと願う人を、私は全力でサポートします。無駄な努力も、無駄な経験も決してない。弱さは、弱さのままじゃなくて、強みにしていくこともできるから。大丈夫。
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執筆者

永松麻美(ながまつあさみ):東京都世田谷区(下北沢)でエステサロン&スクールSUHADAを運営してるオーナーエステティシャン・エステ講師。サロンは12年目。初心者からエステサロン開業を目指すための技術・知識スクールを運営、卒業生の開業・経営サポートにも携わっている。美容家としてTV・ラジオ・雑誌の美容記事監修・執筆、化粧品や美容アイテムの監修メディア出演もしている。著書に「シワとりパーフェクトブック」「正しい知識がわかる 美肌事典」「キレイかどうかは自分で決める」「表情筋ほぐし」がある。