AI肌診断の時代に、エステティシャンは不要になる?機械には絶対に真似できない「人間だけの価値」とは

最近、スマートフォンのアプリやサロンの最新機器で、以前よりも高精度な肌診断ができるようになりました。「AIが最適なケアを提案する」「ロボットが施術を行う未来が来る」といったニュースを目にすることもあります。
これからエステティシャンを目指す方、あるいは今、現場で働いている方の中には、こうした急速な技術の進歩に対して、漠然とした不安を抱いている方も多いのではないでしょうか。
時代の大きな変化を前に、そう感じるのは当然のことです。 この記事では、エステティック業界歴17年の現役オーナーの視点から、「AI時代におけるエステティシャンの真の価値」について、本音でお話しします。
この記事を書いた人:永松 麻美(ながまつ あさみ)

エステティック歴17年、東京・下北沢のエステサロン「SUHADA」オーナー(経営14年目)、エステスクール運営8年。現場で培った豊富な経験と、解剖生理学・皮膚科学に基づいた指導で、未経験者からプロのエステティシャンを多数育成している。
AIの進化とエステティシャンの未来
「私の仕事、AIに奪われる?」広がる不安
「AI(人工知能)が人間の仕事を奪う」という話題は、どの業界でも議論されています。エステティック業界も例外ではありません。
これまでは熟練のエステティシャンが経験と勘で行ってきた「肌状態の見極め」を、AIが一瞬で行い、膨大なデータから最適な化粧品を選び出す。もしかしたら均一な力加減で、疲れを知らずに動き続ける施術ロボットが登場する可能性も・・・?
そんな未来を想像したとき、「生身の人間がやる意味はあるの?」と不安になり、自信が持てなくなってしまうかもしれません。
17年の現場経験で見てきた「ブーム」と「本質」
その不安なお気持ち、痛いほどよく分かります。
私自身、エステティシャンとして17年、サロン経営者として14年のキャリアの中で、美容機器の目覚ましい進化を目の当たりにしてきました。「これさえあれば誰もがゴッドハンドになれる」「技術がなくても扱える」と謳う新しい機械が、現れては消えていくのも見てきました。
データに基づいた正確無比な分析、人間には不可能なスピード、結果重視のマシン。確かにAIや最新機械には、素晴らしい強みがあります。それらを否定する必要は全くありません。
しかし、長く現場に立ち、何万人というお客様の肌と心に触れてきた私だからこそ、断言できることがあります。
AIには絶対に真似できない「3つの人間力」
AI時代において、エステティシャンの価値は下がるのでしょうか? いいえ、私は逆だと考えています。
デジタル化が進み、効率が重視される時代だからこそ、「人間にしかできない領域」の価値が、これまで以上に際立ってきます。私が考える、AIには代替できないエステティシャンの価値は、大きく分けて以下の3つです。
①言葉にならないSOSを察知する「共感力」
お客様がサロンにいらっしゃる理由は、「肌をきれいにしたい」だけではありません。「今日は会社で嫌なことがあって疲れた」「誰かに優しく話を聞いてほしい」。そんな、言葉にならないSOSを抱えていらっしゃいます。
AIは「肌の水分量が不足しています」という事実は指摘できても、それを改善するのは結局セラピストやお客様自身です。その背景にあるストレスや、お客様が今どんな言葉をかけてほしいかといった、感情の機微を察することはできません。
お客様の表情、声のトーン、ちょっとした仕草から心を読み解き、寄り添うことができる「共感力」は、人間にしか持ち得ない能力です。
②安心感を与える温かい「触覚(タッチ)」
エステティックの基本は「手当て」です。
冷え切った足先や、凝り固まった肩に、温かい人間の手が触れた瞬間、お客様が「はぁっ」と深い安堵のため息をつかれることがあります。これは、温度を持ち、感情を持つ生身の人間だからこそ提供できる、究極の癒やしです。
機械的な刺激ではなく、心を込めて触れる「タッチ」には、乱れた自律神経を整え、深いリラクゼーションへ導く力があります。
③その日の状態に合わせた「柔軟な対応」
人間の体と心は、毎日変化します。
マニュアル通りの施術ではなく、「今日はすごくお疲れのようだから、いつもより少しゆっくりとしたリズムでマッサージしよう」「会話は控えて、ゆっくり休んでいただこう」といった、その時のお客様の状態に合わせた微調整が、満足度を大きく左右します。
この柔軟な対応こそが、プロのエステティシャンの腕の見せ所であり、画一的なプログラムで動く機械には難しい領域です。
テクノロジーの時代だからこそ、アナログな価値が輝く
これからの時代、ただマニュアル通りに手順をこなすだけの施術や半端な技術は、確かにAIやロボットが出す「結果重視のマシンやAI」に取って代わられてしまうかもしれません。
しかし、お客様の心に寄り添い、温かい手で触れ、その人だけの心地よさを提供できるエステティシャンは、どんなにテクノロジーが進化しても、決して不要になることはありません。むしろ、デジタル疲れした現代人にとって、その価値はますます高まっていくはずです。
AI時代だからこそ際立つ、あなただけの「手」の力を、一緒に育てていきませんか?